運命の3日間②
無事朝を迎えました。
ビニールカーテン越しに朝御飯が運ばれ、
個室でいただきます。
点滴がつながれた右手は腫れ上がり、痛くて使えないので、左手にスプーンを持って口に運びました。
トイレに行くと、足が小刻みに震えているのがわかりました。きた、副作用…。心配しなくていいと言われたけれど、初めての感覚にやはり不安が募る。
スマホを手にとっても、震えで文字がうまく打てない。電話をしてもすぐに息苦しくなる。
薬の力ってすごい。
午後になって、コロナ再検査も陰性が確認できたので、大部屋に移ることに。
本当に何だったのか… 人騒がせな話だけど、ひとまず心配の種が一つ減ってよかった。
シャワーも解禁されたので、早速浴びることにした。点滴の管を外してから、腕をラップでぐるぐる巻きにして、その上からテープで止める。
毎回これは大変だ。忙しい看護師さんの手を煩わせるのも心苦しい。
副作用で身体もしんどいし、点滴の針がささったままで痛かったけれど、温かいシャワーを浴びて生き返った。
今まで当たり前のようにできてた事が、こんなに嬉しいなんて。
恵まれた環境に慣れ、人に感謝することを忘れかけていた私には、これもいい薬だな、なんて思った。
運命の3日間①
赤ちゃんの肺の成熟を助けるリンデロン注射をお尻から打ちました。明日もう1回打ちます。
効果がでるまでに3日かかるそうです。
夜中にお腹の張りを感じてナースコール。
モニターをつけて様子をみると、やはり定期的に張りがあるとのこと。
リンデロンの効果が表れるまではお産は避けたい為、陣痛を抑える点滴が追加されました。
副作用で身体が震えたり、身体がほてったりするけれど心配しない様に言われました。
私の腕は、採血には困らないけれど
血管がよく動くので点滴には苦労するらしく、結局右手(利き手)の手の甲から点滴を入れました。
始めてからも詰まるのか、何度もエラー音が鳴り、その度に看護師さんが厳重装備をしてかけつけてくれました。
このまま産まれてしまうのかという不安
親になることへの心の準備が何もできてないことへの戸惑い
とにかくこの子が元気に産まれてくれればいい
その為ならどんなことでも我慢する
いろんな感情が重くのしかかり、身体がベッドに沈んでいく様でした。
無事朝を迎えられるのか、祈る気持ちで目を閉じました。
まさかの陰性②
ひとまず疑陽性ということで、部屋からは一歩も出ない、窓もあけない様に言われました。
明日の結果が陽性なら一週間ここで隔離になるそうです。
シャワーは我慢、トイレと洗面台はついているので、いつでも好きな時に使っていいと言われました。
薬を4錠飲む様に言われましたが、お水はもらえませんでした。
気持ちの問題だけど、トイレの水は飲めますよ!と看護師さん。
んー、つらい。
家族に頼んだ荷物が届くからのを待つことにしました。
が、後でこっそり心優しい看護師さんが下のコンビニまでお使いにいってくれました。
喉もカラカラだったので、美味しかったー✨
まさかの陰性①
しばらくして、PCRと抗原検査の結果が出ました。結果はどちらも陰性。
クリニックで検査した時は抗原検査陽性だったのに、わずか数時間で陰性に!
全員が???となりました。
あんなに隔離されたのに
あんな目で見られたのに
先生も看護師さんもこんなに完全防備してるのに
コロナじゃない??
訳がわかりませんでした。
看護師さんいわく、実は先週も同じような人がいたとのこと。
コロナはまだまだわからないことが多いのですね。
原因はわからないけれど、
一度は陽性が出てるので、明日再度検査をして陰性が出るまでは念のため隔離が継続されることになりました。
クリニックでは、コロナが原因で破水したかもしれないとまで言われたのに、そもそも陰性だったって何…
救急搬送⑥
説明が終わると、後の処置を看護師に任せて先生は部屋を出ていきました。
「暑い、暑い」見ると防護服の内側に汗が滴っていました。
ビニールカーテンの外で防護服を脱ぎ、手を洗います。
残された看護婦さんは、医師よりも前から同じ格好をしていて、汗だくでした。
暑いのに大変な思いをさせてすみません…
というと、
全然!慣れてるので大丈夫ですよ😉
と言ってくれました。
その後、個室の利用説明と、入院に必要なものを教えていただきました。
だんな様は濃厚接触者なので来院禁止。家にあるものも、汚染されている可能性があるので持ち込み禁止。一週間以内に接触した母と妹も来院禁止。
結局弟に荷物を届けてもらいました。
ところが!
救急搬送⑤
一通りの検査、処置が終わると担当医から説明があった。
・出血の原因はポリープの可能性が高い
(子宮筋腫4つの他に、ポリープも見つかった!)
ポリープならそのまま放置しても問題ないが、断定はできないので経過観察
・破水の原因は不明
子宮頸管もやや短くなってるので、このまま出産につながる可能性もある
・赤ちゃんは現在1300g
産まれても今の医療なら大きな心配はいらないが、肺の機能が未成熟なので、肺の成長を促す注射をする
その効果が表れるのに3日かかるので、その間にもし陣痛がきた場合は、陣痛を抑える薬を使う
・もしお産になった場合、大きな問題がなければ通常分娩も可能
・破水と出血がなければ退院できる可能性もあるが、あまり期待はせず、お産まで入院になる可能性の方が高い
赤ちゃんの心拍がとれなくなったのは、お腹の中で動き回っていた為で、元気なことが確認できたので酸素マスクはすぐに外されました。
頭がまだよく整理できなかったけれど、ひとまず赤ちゃんが元気だということに安堵。
主治医の先生の説明は丁寧でわかりやすく、淡々としている感じがまた、私を安心させてくれました。不安を煽るような説明は一切なく、何かあればすぐ対処できるので安心して下さいと言われました。
クリニックで感じた様な不安は一切なく、ここにいれば何とかなる、と思えました。
コロナの私と赤ちゃんを助けて下さって、本当にありがとうございます。
救急搬送④
救急車は地下のコロナ専用と思われる入口についた。
担当者がくるまでしばらく待機。
扉の外から看護師と救急隊員のやり取りが聞こえてくる。
看護師は上から下まで重装備で、ビニールに囲われた車イスを押して出迎えてくれた。
救急隊員も私から感染している可能性があるからか、院内は侵入禁止。
私の荷物や紹介状は全て車椅子内に入れられて密閉される。
救急隊員は、病院から搬送完了のサインをもらわないと帰れないというが、看護師は接触できないので後から別の係の者がくるので待ってほしい、みたいなやり取りがなんとなく聞こえてくる。
ビニール囲いの中から救急隊員におじぎをさて、車椅子で運ばれる。扉を入ってすぐエレベーターに乗った。エレベーターの中も感染対策だろうか、木板で目張りされている。
ビニール越しに看護師から説明を受けるが、ファンの音でほとんど聞こえない。
そのまま病室に運ばれた。
病室の扉を入るとすぐビニールカーテンが垂れ下がっていて、その先にベッドが1台用意されていた。
病室では別の看護師が2名待機していて、
用意された下着と服に着替える様指示を受ける。
着替えが終わるとベッドに寝かされ、
お腹にモニターを装着。
鼻から再度コロナの検査。
右手に点滴、左手から採血、指には酸素測定器、あらゆる処置がてきぱきと進められていく。
途中ベビちゃんの心拍がとれなくなり、
酸素マスクも装着。
緊迫した空気がはりつめる。
医師もやってきて、内診とエコーで状況を確認する。
明かりがほしい!
本来内診する設備ではないので、照度が足りないらしく、外の看護師に明かりを持ってくる様指示がとぶ。
何もできず、ただ身を任せて祈ることしかできない。
お願い、無事でいて。