救急搬送①
ようやく転院先が見つかり救急車が手配された。
サイレンの音が鳴り響いて、止まった。
この音がまた不安を煽るけれど、
とりあえず受け入れ先が見つかってよかった。
救急隊員に連れられて、検査室の扉を開けると、目の前に健診中の新生児を抱きかかえたお母さんが座っていた。
バイ菌の塊を見るような目
我が子を少しでも遠ざけようと背中を向けて覆い被さる
そうなるよね…
私が母親だったら、防護服に包まれた人に連れられていくいかにも怪しい奴がいきなり現れたら、同じように必死で我が子を守ろうとすると思う。
気持ちは痛いほどわかるけど…
あの視線はなかなかつらい。
コロナ陽性者が搬送されます!なんて大々的に言ったらパニックになっちゃうのかもしれないけど、もう少し接触しないように工夫してほしかった。
裏口から外へ出ると、だんな様が救急車を心配そうに見つめていた。いつも元気で優しくて、何があっても動じないのに、初めて見る顔だった。
大丈夫だよ!と目で伝えて手を振った。
だんな様も濃厚接触者だから、転院先にはきてはいけないって。
何もできずただ立ち尽くすだんな様。
今朝は何事もなくいってらっしゃい!したのに…
心配かけてごめんなさい。